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遷ろいゆく関心事を書き留めていく

『TOKYO図書館紀行』 図書館本の読書メモ vol.3

TOKYO図書館紀行 (玄光社MOOK TOKYO INTELLIGENT TRIP 1)

TOKYO図書館紀行 (玄光社MOOK TOKYO INTELLIGENT TRIP 1)

写真豊富な「図書館」のムック本。手元に置いておきたいと思う一冊でした。

はじめに、作家・フランス文学者で早大教授の堀江敏幸さんが「瑞々しい異国」と題したPROLOGUEを書かれています。

生活圏から離れたところにある公的な図書館というのは、案外入りづらいものだ。その町の住人であったり、勤務先が近くにあって昼の休みに立ち寄ることができたりすれば精神的な距離もぐっと縮まるのだが、足を踏み入れるまでには至らない。電子の目録が充実し、複数の館が見えない糸で結ばれてからは、他館の蔵書でも使い慣れたカウンターに届けてくれるサービスもできて、所蔵館まで返却に行く手間もなくなった。便利といえば便利なのだが、そうなると、悲しいことに、図書館行動半径とでも呼ぶべきものが狭くなってくる。 (p.2)

なるほど、私を含め、おそらく多くの人がぼんやりと感じていたことがそのまま文章になったようです。「図書館行動半径」は、小学生や中学生なら地域の図書館と自分が通う学校の図書館ですね。高校生になると地域の図書館と学校の図書館に加えて、例えば予備校の近くの公共図書館なんかが加わってくるかもしれません。大学生になると、逆に大学図書館がメインになり、場合によっては国会図書館専門図書館などに行くケースも出てくるでしょうか。社会人になると図書館に行く機会はぐっと減りますが、家族ができ、子どもが生まれると、また地域の図書館に行くようになるかもしれません。

 

堀江さんはPROLOGUEの最後で以下のように語っています。

町が違い、住んでいる人が違えば、本の姿も違ってくる。町の人間が本の顔をつくる。空間は、あとからできあがるのだ。それを確かめるためにもまた、あまり縁のない、離れた町の図書館を訪ねてみたいと思う。 (p.3)

ここには深く共感しました。なるほど、例えば図書館には蔵書のない本をリクエストすることができるので、どんな本が多くリクエストされ、蔵書されていくかは、地域の住民の傾向を反映していそうです。私が住む武蔵野市では漫画家やクリエイターの方が比較的多く住んでいると言われていますが、ひょっとしたら他の地域の図書館に比べて、美術系の本のリクエストが多くなっていたりするのかもしれません。地域の公共図書館にどんな本が多く蔵書され、どんな特集コーナーが組まれているかは、地域特性を映し出す鏡なのかもしれませんね。

 

さて、この本では、フルカラーのキレイな館内写真とともに、30館の図書館が紹介されています。PART1「歴史を感じる図書館」、PART2「アートな図書館」、PART3「コミュニケーションが生まれる図書館」、PART4「新しい世界と出会う、専門図書館」、PART5「もっと深く本を知る図書館」という5章立てです。巻末には紹介されている各図書館の地図が掲載されているので、この本1冊でガイドブックがわりになりそうです。

各図書館の紹介文も短く簡潔にまとめられているので、雑誌を読む感じで素晴らしい図書館の様子を垣間見ることができます。

 

PART1 「歴史を感じる図書館」

 
PART2 「アートな図書館」
 
PART3 「コミュニケーションが生まれる図書館」
  • 千代田区立日比谷図書文化館
  • まち塾@まちライブラリー
  • ひと・まち・情報 創造館 武蔵野プレイス
 
PART4 「新しい世界と出会う、専門図書館
 
PART5 「もっと深く本を知る図書館」
 
「まだまだある、おすすめ東京専門図書館
  • 江戸東京博物館 図書室(文化)
  • 防災専門図書館(暮らし)
  • (社)農山漁村文化協会 農文協図書館(食)
  • 日本の酒情報館 SAKE PLAZA(食)
  • (財)日本交通公社 旅の図書館(旅行)
  • (財)日本航空協会 航空図書館(交通)
  • 日本ホテル教育センター 図書資料室(観光)
  • 留学図書館(海外)
  • 光文文化財団 ミステリー文学資料館(文学)
  • 芭蕉記念館 図書室(文学)
  • JCIIライブラリー(写真)
  • (公財)松竹大谷図書館(演劇・映画)
  • 民音音楽博物館 音楽ライブラリー(音楽)
  • NHK放送博物館 図書・史料ライブラリー(メディア)
  • 女性就業支援センター ライブラリー(社会)
  • ポーラ化粧室文化情報センター 資料閲覧室(化粧)
  • 秩父宮記念スポーツ図書館(スポーツ)

 

 

*** あとがき ***

我が街、武蔵野市の「武蔵野プレイス」が掲載されていてちょっぴり嬉しかったです。こんなふうに紹介されると、「近所の図書館」だった武蔵野プレイスが、なんだか違った風景に見えてきます。

「図書館行動半径」ってのは図書館クエストにぴったりな表現と考え方ですね。いまは「ゆうしゃ・レベル1」って感じですが、仲間を増やしながら冒険を続けていきたいと思います。

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