kinocotakenoco

遷ろいゆく関心事を書き留めていく

『図書館を演出する-今、求められるアイデアと実践』 図書館本の読書メモ vol.6

図書館を演出する―今、求められるアイデアと実践

図書館を演出する―今、求められるアイデアと実践

  • 作者: 尼川ゆら,尼川洋子,多賀谷津也子,丸本郁子
  • 出版社/メーカー: 人と情報を結ぶWEプロデュース
  • 発売日: 2010/08
  • メディア: 単行本
  • クリック: 35回
  • この商品を含むブログ (1件) を見る

WEプロデュースによる、図書館空間を活かすためのアイデアがまとめられた一冊。短い本でしたが、図書館クエスト的にはとても参考になることが盛り込まれていました。

 

97ページの中にアイデアと提言がぎゅっと凝縮された感じです。気になったところをいくつかピックアップしてみます。

 

「2-1 図書館資源としての空間」より

では、インターネットにはなくて図書館にあるものとは何か?それは“情報と共に場所がある”ということです。(中略)例えば、特に用事はないけれど、散歩のついでに寄ってみたい、そこに行けば良い気分転換になる街の中の公園のような存在、また、ただ本を借りに行くという目的だけでなく、ギャラリーのように自分もメッセージを発信する場所、集い、情報交換し合う広場になっていたとしたら、人は不便を意識せずに出かけていくでしょう。

図書館にあってインターネットにない、「空間」を最大限に活かす、というのは良い図書館であるための絶対条件ですね。ネットに同化・同調しても意味がありません。出かけていきたくなる“何か”が必要です。

 

「2-4 空間のイメージを変える」より

◎ 図書館を街に見立てるならば(チェックリスト)
  • 駅前(街の入り口)はどこですか?どうなっていますか?
  • 街の案内板・地図はありますか?
  • 案内標識はありますか?
  • 番地は分かりやすいですか?
  • 広場はありますか?
  • 広場では何か面白いイベントや街の情報に出会えますか?
  • 一息つける場所はありますか?
  • 目を楽しませるものはありますか?

利用者にとって情報を受け取りやすい、整理された空間としての図書館に必要な要素について、図書館を“街”に見立ててチェックリスト化しているんですが、これは図書館クエスト的にも参考になる見方です。特に、子連れという条件を付加すると、「広場があるか」や「一息つける場所があるか」、「目を楽しませるものがあるか」は重要です。

 

「3-6 ゆとりの空間をつくる」より

ゆったりと気持ちのよい空間を作るためには“余白”になる空間が必要です。この“余白”には情報ではなく、本を探して歩き回った後に少し休めるような椅子、あるいは一息つけるような休憩所、本や文字ばかり見つめて疲れた目を休ませるための植物やアート作品などを置く場所にしていきます。そうすることで、“余白”は長くその空間で過ごすための“ブレス=息継ぎ”になります。そんなゆとりは空間をより豊かで心地よいものにしていくでしょう。

スペース効率を追求して書架を並べていけば、たしかに開架書架の蔵書数は増えるかもしれません。しかし、インターネットの情報とは違って、図書館空間に求められているのは単純な情報量の多さではなく、ゆとりの空間を含んだバランスの良い、居心地の良い空間です。余白をどう設計するかは、什器や設備をどう配置するかよりも、ひょっとしたら図書館空間では重要な要素なのかもしれません。

 

 

*** あとがき ***

余白となる空間は、図書館に限らず、どんな場でも必要な要素のはずです。近年のオフィスではコスト削減のためにスペース効率が最大の要求事項になっていますが、遊びゴコロを散りばめたり、何もない余白スペースをつくることは、その空間で働く人にとって大事なことのはずです。最近、GIZMODEで紹介されていたこちらの記事を思い出しました。

グーグルNYオフィスには、本棚の裏に隠し部屋が...! : ギズモード・ジャパン